僕は先日下記の記事で白鯨伝説について語りました。
しかし先の記事では白鯨伝説の紹介をしただけにとどまり、
考察などの書きたいことを書けていなかったので、こちらの記事にまとめることにしました。
10数年ぶりに再視聴しました
以前白鯨伝説を観た時から、とても時間が経っていました。
dアニメストアで視聴できるという事なので、登録して数10年ぶりに観てみました。
26話あるので記憶があいまいな個所もありましたが、改めて観ても思い出通り名作中の名作でした!
僕は昔の僕に言いたいですね。
「お前のアニメ選球眼は間違ってなかった!」と。
年をとると目が肥えてしまうものですが、30歳の僕にとっても大好きな作品でした。
白鯨伝説を再視聴した感想
ここからは僕が白鯨伝説を数10年ぶりに再視聴した感想を書いていきます。
以前書いた記事にも少し書きましたが、改めて観ると色んな感想がでてきました。
さすがに年をとったので、昔とは違う様々な思いを覚えました。
下記に記していきます。
雰囲気が好き
実際、根幹のテーマは紛争問題や移民問題や復讐などリアルで重たいテーマなのですが、
キャラクター達の明るさ(バカさ)のおかげでとても明るい雰囲気になっています(笑)
主人公のエイハブ船長グループの仲間たちの明るさとノリの良さは色んなアニメの中でもピカイチです。
それでいて個性もあってチームワークもあって、最高の仲間たちって感じがします。
クソみたいな親父ギャグと雰囲気関係なくちょこちょこ出てくるエイハブグループ達が歌う意味不明な歌も掛け合いも最高にクールです(笑)
がっつりSFしてるところとギャグになっているところのメリハリがあって、テンポが良くて好きです。
話の構成が好き
制作開始当初は39話のはずだったらしいのですが、
制作会社が倒産したりと色々あり、18話で一度制作がとまり、その後26話で完結しました。
色々あったアニメではありますが、複線回収して落ちまできちんとまとまった話だと思います。
39話あるはずだったからか途中大筋に関係ない話が少しあったりもしましたが、
幽霊船の話なども面白かったのでOKです。
制作期間の問題か、最後はかなり駆け足で終わったなという印象です。
もう少し白鯨問題を解決した後の惑星モアドの生活やエイハブ船長たちのことを描写して欲しかった気持ちもありますが、
最終回の後の展開を想像すると、あの終わり方でよかったのかもしれないと思います。
理由は下記に記します。
得体の知れない未来金属の表現が好き
かなり細かな部分ですが、欠かせない部分です。
観たこともない得体の知れない金属の描写がすごいんです(笑)
惑星消滅弾の白鯨の鱗であったり、白鯨の内部にある変形する金属の描写が素晴らしい。
現実にない金属、というか金属なのかもわからない材質の表現を、この白鯨伝説は見事に描写しています。
僕はこのSF特有の意味不明な金属を「未来金属」と呼ぶことにしました(笑)
雪のように降ってくるパリッパリの白い白鯨の鱗や、
白鯨内部を構成する他の金属を吸収してしまう金属の描写など、
非常に秀逸なので注目して観てください。
シロウは何でもあり
白鯨伝説はSFアニメであり、作中には高度な科学技術が多数散見されます。
が、この作品は単なるSFではなく、魔法(超能力)も出てきます。
といっても超能力を使えるキャラクターは主人公のラッキーの実兄であるシロウ・トキサダのみです。
エイハブグループの一員であるドクは超能力の存在を知っていたようなので、
白鯨伝説の世界には他にも超能力を使える人がいるのでしょうが、作中超能力を使っていたのはこのシロウ・トキサダのみでした。
シロウは惑星モアドのレジスタンスの指導者で、
惑星モアドを破壊しようとする連邦政府に立ち向かうリーダーなのですが、
彼の超能力がすごいすごい(笑)
シロウが作中見せた超能力一覧
・睡眠中でも、教会にいるラッキーに念を飛ばし、集合場所を伝える。
・他の惑星のTVを電波ジャックして自分の映像と音声を飛ばす。
・キレたら体からビームを出して敵の戦闘機を撃破。
・死後もラッキーの体に乗り移り、ラッキーの口を通してメッセージを伝える。
いやもうなんでもありやん!(笑)
ひとりだけドラゴンボールしてる!(笑)
ただシロウの超能力にはデメリットがあって、超能力を使ったらめちゃめちゃ疲れるという。
いや、それでもすごい!(笑)
死んだ後ですら人に乗り移ることができたのですから、
敵の親玉に乗り移って戦争を終わらせようとはしなかったのでしょうか?
シロウの能力があれば、人の心を操作したり、他にももっといろんなことができたはず。
テレビの電波ジャックができたくらいなので何でもできたはずです。
正直シロウで無双できたはずなんですよね。
シロウのカリスマ性を出したくて超能力を与えたのかもしれないですが、
別になくてもよかったのかなぁ、と思いました。
僕が出崎監督の意図をくみ取れていないだけかもしれませんけどね。
あと別に思ったことがあって、作中シロウとエイハブが出会った直後、
シロウの演説を聞いたエイハブがシロウの演説に対して納得いかなくなるシーンがあります。
エイハブ曰く、戦争の勝利を神様に頼むと、
神様のせいで人が死を恐れなくなる。それによって自分の命が軽くなり、ポンポンしんでいった奴らをたくさん見てきた。
だから戦争に神様を持ってくるのはやめろ、ということなのです。
確かにそうですね。
戦争に神様を関係させると、聖戦としての戦いとなり、仲間を鼓舞することが出来ます。
その代わりに死への認識が薄れ、命が軽くなってしまいます。
実際にそうやって死への恐怖を薄れさせている宗教はありますよね。
エイハブはそのことを言っているのです。
僕は最初エイハブのその主張を聞いた時、確かにそうだなぁと納得しましたが、改めてアニメを最後まで観てみると、別の考えが浮かんできました。
確かにエイハブの言う事はわかるんです。
でも、神の力を信じるシロウは、実際に死後もラッキーの体に乗り移ったりして、明らかに人外の力を持っていますよね。
明らかにシロウは神様みたいなものなんです。
シロウの存在によって、白鯨伝説の世界には死後の世界もあるし、魂も存在しています。
エイハブがシロウと話が合わないのも当然なのです。
シロウは本当に生き神様だったのですから。
死後の世界を知っていたから、神様の話をしていただけなのです。
戦争で文明が破壊されて荒廃した惑星なのですから、宗教の下地なんか普通なくなってると思うんです。
なのに人々はまだ神様や奇跡を信じている。
それは元々ある伝統的な文化的な宗教ではなくて、シロウという生き神様を見ているからなんですね。
アニメを全編通して観ると改めてわかる感慨深いシーンでした。
ラストシーンの後のことを想像してみる
白鯨伝説のラストってかなり駆け足ですし、白鯨を爆発した後って
「はい、決着付けましたよ!おわりー!」
って感じでめっちゃあっさり終わるんですよね。
僕は最初、元々39話だったアニメが26話で終わることになって尺がないから白鯨を撃破した後の話を描けないんだろうと思っていました。
でも、よくよく考えると、それだけじゃないようにも思えたんです。
主人公のエイハブの目的は白鯨を倒すことなので、曲がりなりにも白鯨を爆発させたことによって、一応確かに白鯨に勝つことはできました。
そこでアニメは終わって、え、もう終わるの?って感じもしますが、それでよかったんだと思います。
というのも白鯨が爆破されたからって、惑星モアドの紛争問題は終わらないからなんです。
エイハブたちが爆破したのは、宇宙最強の惑星消滅弾である白鯨なんです。
つまり、武器を壊しただけなんですよ。
エイハブ船長の左目と左足を奪った怨敵である白鯨を倒すことが、この白鯨伝説の主なストーリーでした。
そして物語の最後には白鯨を倒すことが出来ました。
しかし白鯨を倒しても白鯨の背後には、白鯨を作った連邦政府がいますし、
連邦政府の技術力なら白鯨をまた作ることもできるはずです。
惑星消滅弾を開発したアベルカイン博士は、アンドロイド手術を受けて白鯨とデュウに二分され、
白鯨の爆発と共に消滅しましたが、生身の人間を完全なアンドロイドに変えてしまう連邦政府の技術力なら
アベルカイン博士の意識のトレースなんか簡単にやってのけるでしょう。
だから連邦政府を倒さない限り、惑星モアドは無事ではないし、エイハブたちの戦いも終わらないのです。
それ故に、白鯨を爆破した後の惑星モアドの描写が出来なかったのではないでしょうか。
宿敵のである白鯨を倒したからって、全く一件落着ではないのです。
巨悪と戦う系の冒険活劇にはありがちなことなのですが、
物語って終わるタイミングが大事だなとつくづく思いますね。
連邦政府の動機が不明
この物語の大筋はこうです。
・エイハブ船長は昔、連邦政府の惑星消滅弾である白鯨に左目と左足を奪われたので、その復讐がしたい。
・もうひとりの主人公であるラッキーは、自分の故郷である惑星モアドが白鯨により爆破されそうなので、宇宙一の鯨捕りであるエイハブ船長に惑星モアドを助けてほしい。
・因縁の相手である白鯨が惑星モアドにいると知ったエイハブ船長は、復讐のためにモアドへ行く。
・色々あって、エイハブ船長たちは白鯨に勝つ。
というのが物語の流れなんですが、そもそも連邦政府が惑星モアドを爆破するのは理由が意味不明なんです。
というのも、惑星消滅弾である白鯨の攻撃力の実験のために惑星モアドを爆破したいみたいなんですね。
白鯨の威力を世界中に知らしめて、連邦政府の力を誇示するのが目的のようなんです。
でもそれにわざわざまだ人が住んでいる惑星モアドを選ぶ意味が分からないんですよね。
わざわざ明らかに反対するであろう住民たちと争うというコストをかけて、戦争までしているんです。
どうしても惑星を壊したいのであれば、わざわざ水があって生物も人もいるモアドを壊さずに、
全く人が住んでいないその辺の惑星を爆破すればいいじゃないですか。
こういうことを考えるときりがないですけどね、本当は別の理由がありそうです。
それならそれで面白いですけどね。
本当はモアドの住民たちが連邦政府にとって脅威となるので、
解体して脆弱化させたいがためにモアド破壊を選んだのかもしれません。
全く正義でもなんでもないですが、モアドを攻撃する理由としては白鯨の威力を実験したいだけというよりも、
モアド住民軍の脆弱化の方がしっくりきますし、世界に示す大義名分としては強いのではないでしょうか。
だってモアドの住民を悪役に仕立ててしまえば、ただの惑星消滅弾の実験台にするというよりも、世界からの批判はでないでしょう。
そういうことを考えてしまいました。
最後に
色々考えると止まらなくなってしまいますので、この辺でやめておきましょう。
様々な疑問は思い浮かびましたが、これはただ僕が余計なことを考えるのが好きだからです(笑)
白鯨伝説は素直に名作中の名作といえますし、大好きな作品です。
好きなアニメだからこそ、色々と考えてしまうんですね。
白鯨伝説は間違いなく、僕の人生のなかで出会ってよかったと言える作品です。
とてもおすすめな大作なので、是非見てください。
それでは今日はこの辺で。
さよなら。